最新テクノロジーの一つとして注目されている技術の一つが「AI(人工知能)」です。最近はAIを活用した「AIアシスタント」と呼ばれるサービスが様々なIT企業からリリースされていて、すでにスマホやスマートスピーカーなどで様々な便利機能を提供しています。
この記事ではAIアシスタントの現状について触れながら、その秘められた将来性について解説したいと思います。
1.AIアシスタントの現状とは
まずはAIアシスタントが現在どれくらい普及していて、どんな分野ですでに使われているのかを見てみましょう。現況が分かると将来性も見えてきます。
AIアシスタントの代表的なサービスにはGoogleアシスタントやAppleのSiri、AmazonのAlexaなどがありますが、AIアシスタントの普及度や認知度はどれくらいかを以下にあげてみます。
「電通デジタル」が15歳から69歳の男女に行ったインターネット調査によると、AIアシスタントを搭載したスマートスピーカーの認知率は79%にものぼりました。つまり10人に8人はその存在をすでに認識しているということです。
しかし普及度はどれくらいかと言うと、わずか6%にとどまりました。また存在は知っていても特徴や仕様について理解している人は18%しかいませんでした。ちなみに使用しているスマートスピーカーとしては、Google Homeが1位で、Amazon Echoが2位という結果でした。
この結果を見るとAIアシスタントはまだまだマイナーなサービスに思えるかもしれません。しかし2018年にアメリカで行われた調査によると(「NPR」と「Edison Researchによる」)、アメリカにおけるスマートスピーカー所有率は21%(5,100万人)にものぼりました。しかも2017年から2018年にかけて、スマートスピーカーの数は1年間で約78%もアップしています。日本よりも圧倒的にAIアシスタントが普及しているのが分かります。
つまり日本ではまだまだ普及していないとしても、今後普及する可能性は大いにあるということです。実際さきほどの電通デジタルの調査によると、スマートスピーカーの所有者の中で「購入前の期待が大きく、購入後もおおむね満足している」と回答した人は非常に多かったようです。また所有者の少なくとも10%ほどは「有料サービスを利用してもかまわない」と回答しています。
さらにこの調査が対象にしているのはAIアシスタントを搭載したスマートスピーカーのみです。つまりスマホやタブレットなどで使えるAIアシスタントサービスは含まれていないため、AIアシスタントサービスをそれらのモバイル端末で利用したことがある人はもっとずっと多いはずです。実際「Hey Siri」とか「OK Google」とスマホに呼び掛けてみた人は多いのではないでしょうか。
こうした点を踏まえると、AIアシスタントは米国はもちろん、ここ日本においてもある程度浸透してきているサービスと言えるでしょう。
2.AIアシスタントの将来は明るい!
AIアシスタントは音声認識技術や人工知能の思考プログラムなどを基幹技術にしていますが、今後家庭やビジネスシーンでこのサービスが爆発的に普及してくる可能性は大いにあります。
家庭に関して言えば、最近はスマート家電とかIoT(物のインターネット)という言葉が頻繁に使われていますが、家具や家電製品をネットやAIでもっと多機能にする動きが顕著になっています。
例えばAIを搭載した鏡で健康管理をしたり、気温情報を読み込ませてファッションを分析させたり、ペットに自動でエサを与えたり、様子を飼い主のスマホに送信したりといった技術はすでに確立されています。
照明や空調機器、玄関ドア、カーテン、冷蔵庫や洗濯機など、家庭にあるあらゆるものをAIアシスタントを通して音声操作したり、自分好みの動きをするように学習させる時代が現実のものになる日は遠くないでしょう。
AIアシスタントとビジネス
AIアシスタントは日常生活だけでなくビジネスユースにおいてもすでに身近なものになっています。例えばAIアシスタントの主要な技術である音声認識について言えば、すでに多くのネットユーザーがタイピングによる検索ではなく音声検索を利用するようになっています。実際Googleのデータではモバイル端末からの検索の2割は音声検索によるものです。
文字を打つよりも音声で検索したほうが圧倒的に速いので、今後多くのネットユーザーが業務で音声入力を利用していくようになる可能性が十分にあります。その方が手も疲れず入力の正確性も増します。
またオフィスの様々な機器をAIアシスタントで制御する場面も多くなってくると予想されます。複合機の有名メーカーであるリコーは、音声認識でコピーやスキャンなどの機能を操作できるシステムをすでに導入しています。また照明や空調をスマートスピーカーなどを使って操作できる製品もあるので、オフィスの様々な設備を声だけで操作することも可能です。
AmazonのAlexa for Businessというツールでは会議室の予約や会議の準備などを組織する機能を利用することもできます。
このような点を踏まえると、AIアシスタントが今後ビジネスでいっそう重視される可能性は高いと言えます。スマホやスマートスピーカーのAIアシスタント機能に対応した製品がいろいろ登場してきて、「AI対応かどうかが製品購入の分かれ目になる」ような時代も来るかもしれません。
そのため自社の製品やサービスにもAIアシスタントを搭載したり、搭載機器に対応するツールを今から開発するよう意識するのは企業にとって大切なポイントになってくるでしょう。AIやAIアシスタントは今後確実に普及すると思われます。消費者の購買意欲を向上させるためにも、AI関連の技術には注意深く目を向けることが望まれます。
3 .まとめ
AIアシスタントの現況や将来性について解説してきました。すでにAIアシスタントは家庭にもビジネスにも普及し始めています。そのため会社としては「わが社はAI技術やAIアシスタントサービスとは無縁」とすぐに考えずに、それらの技術を何かしらの方法で活用できないか模索するのが賢明です。
いずれにしてもまずは、すでに市場に投入されているAIアシスタントに実際に触れてみて、その魅力を確かめてみることをおすすめします。