最近様々なところで「AI(artificial intelligence)」つまり人工知能の話題を見聞きするようになっています。AIと聞くとSFの世界のことをイメージしがちですが、AIは私たちの生活や職場においてすでに現実のものになっています。この記事ではAIアシスタントという最新技術について解説して、そのメリットや事例を紹介したいと思います。
1.AIアシスタントってどんな技術?
AIアシスタントとは「バーチャルアシスタント」や「インテリジェント・パーソナル・アシスタント」、「デジタル・アシスタント」などとも呼ばれる技術で、簡単に言えばAI技術を使ってネットユーザーや端末ユーザーの手助けをしてくれるサービスです。AIの定義は難しいですが、おおまかに言えば人間の思考パターンや行動パターンなどを人工的に再現できるようにしたコンピュータと言えるでしょう。
アシスタントという言葉の通り、この技術は基本的に「ユーザーが行ってほしい」と考えている何らかのタスクを実行する手助けを行います。言ってみれば社長のリクエストに的確にこたえる秘書のようなものです。スケジュールを訪ねれば教えてくれ、特定の相手に連絡を取るように指示すると電話をしてくれる、そんな秘書的な役割をしてくれるのがAIアシスタントの特徴です。
AIアシスタントの歴史
AIアシスタントの歴史は実は約50年以上もあります。シアトルで開催された万国博覧会でIBMの音声認識技術が公開されたことが、現在のAIアシスタントの主要機能である音声認識の始まりと言えます。すでに1970年代には国の援助を受けたカーネギーメロン大学が約1,000語ものボキャブラリーを持つツールを開発しました。
その後、デジタル音声認識技術はマイクロソフトやIBMなどによってどんどんと普及していき、近年ではApple社の製品にSiriが搭載されて話題になりました。
AIアシスタントで行われるプロセス
AIアシスタント機能はどのようなプロセスでユーザーが求めるタスクを行うのでしょうか。AIアシスタント技術を搭載するスマホがあると仮定して、具体的なプロセスの流れを追ってみましょう。AIアシスタント技術は様々にあるため、あくまで概念的な説明になりますが、AIアシスタントの「思考パターン」をおおまかにとらえられるはずです。
まず、ユーザーが「お昼ご飯を食べるところを探したい」と思っているとします。そこでAIアシスタント機能に向けて「お腹すいた」とか「ごはんが食べたい」と発言するとします。するとAIアシスタントはユーザーがモーニング、ランチ、ディナーのいずれかを求めていると判断します。
ユーザーの発言にはランチなのかディナーなのか、あるいはお店を探しているのかどうなのかを明確に示す言葉はありません。しかしAIは把握し得る情報から的確な参考情報を導き出すために「思考」します。例えばユーザーが発言した時刻が午前11:30の場合、ユーザーはこれからランチを食べるつもりであることが推測されます。
また過去の検索履歴や位置情報などを見れば、そのユーザーがランチ時間に飲食店にいることが分かるので、外食するつもりであることも推測できます。そこでAIアシスタントは「ユーザーはランチを食べる場所を探している」と判断して、最寄りの飲食店候補を提示してきます。また営業日や営業時間なども考えて、当日の曜日や時間帯に合う検索結果も出してくるでしょう。
このようにAIアシスタントは必要な情報が多少不足していても、ユーザーの意図やその場の状況、過去の記録などから総合的に判断してユーザーの期待に応えようとします。また、もし外部サービスと連携する必要があればそうします。例えば「今日の天気」とユーザーが発言すれば、天気情報サービスと連携して天気予報の結果を返してきます。
これらはあくまでAIアシスタントのタスク実行プロセスを概念的に示した説明です。しかし現実的に、このような「思考プロセス」を実現するだけのAI技術が登場してきています。
代表的なAIアシスタントのサービス
では実際にAIアシスタント技術を実装しているサービスの具体例を見てみましょう。
・Siri
Appleが誇る、AIアシスタントの代表的な存在です。Apple TVなどに搭載されていますが、テレビと接続して話しかけると動画の検索や再生をしてくれます。また照明や空調などの家電製品を声だけで操作することも可能です。
・Alexa
AlexaはAmazonのサービスでなんと、話しかけてショッピングが出来たり家での照明管理ができたりします。また、ルンバと組み合わせると自動的に掃除をさせることも可能です。
・Googleアシスタント
Googleが提供している技術です。検索エンジンでおなじみのGoogleですが、音声認識によって膨大な情報量からユーザーの求めるサービスや検索内容を表示してくれます。動画や写真の表示・再生も音声だけで可能です。
2 .まとめ
AIアシスタントの現状について解説してきました。AIアシスタントはAI技術や音声認識技術などを使用してユーザーの意図や目的を読み取り、該当するタスクを実行してくれるサービスです。音声による情報検索はすでに多くの人がスマホやタブレット上で行うようになっていますが、今後、日常生活の様々な場面でAIアシスタント技術が浸透していくと予想されます。